GCJ総研とは

団塊の世代がいっせいに退職する時代を迎え、どのビジネスの分野においても団塊世代をターゲットにした新たな商品の開発や顧客の取り込みにしのぎを削っている。

旅行業界では、90年代半ばから格安ツアーが広く出まわるようになり価格競争が激化。そしてこの価格競争の波は大手旅行会社にもおよび、特に国内の旅行ではなかなか利益が確保できない状況におかれてしまった。そのなかで旅行各社は、団塊世代をターゲットとする他のビジネス同様、「富裕層」とよばれる可処分所得の高い顧客のニーズに合致する新たな商品づくり、そしてそれら顧客の囲い込みに向けて模索する日々が続いている。

一方、地方都市やその周辺市町村では人口の減少に歯止めがかからず、農業従事者が高齢化し、産業創出のための具体策に頭を悩ませている。目立った資源もなく、観光を切り口とした町おこしが難しいとなると、農村再生も視野に入れ、「田舎ぐらし」を希望する人びとに、UターンやIターンなど移住促進をすすめるのも全国的な傾向である。自治体などが定住促進を積極的に行うようになったのは80年代半ばから。ふるさと創生をきっかけに「○年住んだらタダで土地をあげます」といった施策なども登場するようになった。

また90年代後半から日本各地で取り組まれるようになったのが、地域の資源を生かし、農業や伝統的な技術などを実地で学べるような体験メニューづくりである。地域に埋もれた歴史や文化、自然環境などの資源を有効に活用して交流人口を増やそうという試みだ。ところが、旅行会社と提携して修学旅行生などの受け入れを可能としたわずかな地域以外は、せっかく多くのメニューは作ったものの、地元小中学生の体験学習に利用される程度で、域外からの顧客を招き入れるだけの素材には育っていないのが現状である。
 
そのようななかで、近年、注目を集めているのが「着地型」という形態の旅である。

これまで、一般的な旅のスタイルといえば、旅行社の情報優位性を前提に、交通機関や宿泊施設などを廉価に仕入れ、ボリュームのある都市住民に対して「○○に行こうよ」と誘うように呼びかけ現地に連れて行くというスタイルが主流であった。ところがツアーを造成するスタッフが旅先のすべてを知っている訳でもなく、ましてインターネットの普及した現代では、旅行社スタッフより顧客の方が豊富な情報を持っているケースも少なくなくなってきている。

ツアーをつくる側にいる旅行社の情報優位性が崩れたいま、地域の本当の魅力やその独自性を誰よりも熟知しているのは間違いなく地元に暮らす人びとである。そこで、旅行者を受け入れる地元が中心となって旅行商品を組み立て、地域から情報を発信していくという旅のスタイルが「着地型」とよばれる新しい旅のスタイルである。

グローバルキャンパスは、まさに旅先の人(コーディネーター)が、その地域ならではのプログラムを企画し、全国から人びとを受け入れる「着地型」の旅を、20年近くにわたって企画運営してきた。

GCJ総研では、その豊富な経験やノウハウにもとづき、着地型の旅行者を受け入れる地域の体制や条件整備、そのためのソフト開発、および、地域で取り組むべき人材育成などについて総合的に支援することを目指すものである。

GCJ総合研究所
所長 大社 充




 
     

 

 

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